夏目漱石「草枕」・連れて行かれた夢の空間、画家の不思議な感覚。
2015/01/03
夏目漱石を卒論とした友人のおすすめには無かったこの草枕。それでも谷崎潤一郎の陰翳礼賛で侘び寂びに感銘した親父にとっては、明治の文豪がする自然の描写、表現豊かさを目の当たりにしてすっげーなこの人と舞い上がりながらページをめくりながら読み終えたんです。
画家が主人公、舞台は海が視界にはいる山間の温泉場、状況はどれも非現実的。それでも気づいたのが、画家が語る言葉はとても現実的なものであること。
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夏目漱石 草枕
ミステリアスな女性「那美」、画家は那美の姿を見る前からこころを惑わされます。ましてや実際に那美を目の当たりにしてからは男と女のシナリオ展開になるのかと少々不安になるほど。ちょっとしたエロスも醸し出しヤバイヤバイと興奮気味になるのも、突然想像するのも容易くない自然描写で間をおかれます^^。。
文脈はないと言っても過言ではないかも。主人公の発想のごとく、センテンスごとにシチュエーションが変わります。
イメージしながら読むべし
繰り返しになりますが、描写が丁寧で細かいです。画家という職業の主人公の立場と感覚を借りるが如く、漱石がこれでもか、これでもかと言う程に空き放題文章を投げかけてきます。古い言葉も大いに登場するので理解するのに時間がかかるけど、ここはジックリと頭のなかでイメージしながら読んでいきましょう。
イメージできないとこの作品はもったいないです。
非現実的でありながら、実は現実的。。
非現実、場所と登場する人間はどうも非現実的。しかし最後まで読み終えると超現実的。恐いほど現実的なことを画家は呟いています。最後の最後にこれまでの夢の空間をぶち壊してくれんですが、よくよく振り返ると最初から画家はシレっと、まともなことだけを言っています。まるで画家という隠れ蓑を覆いながら自分を隠す識者です。
夏目漱石「草枕」まとめ
漱石で学士論文をとった友人がそう言うぐらいなので本当なんでしょうけど、この草枕、他の作品と比べてあまり人気はないそうです。しかし俺的には満足できました。描写が古くて、いかにも明治の表し方が気に入った。だからこそ「こころ」ほど万民ウケはしなのも分かる。
読者を夢心地にさせるから「草枕」なのかな?谷崎のわびさびとも少し感覚が違いました。
読んでいてウットリさせられた作品です。
次回夏目作品は三四郎です♪