現在もっとも人気の定跡のひとつ、シシリアンディフェンス。この定跡はとてもバリエーションが多いので何度か分けて記事にするかも。
序盤の展開白のe5に対して黒がc5と出る。...e5とでるのはさんざん研究され尽くしていてどうも黒番の勝率が悪い。そこで編み出されたのがこのシシリアンディフェンス。
17世紀にイタリア人のグレコが好んで指したことから、この名称がつきました。当時はそれほど人気のあるオープニングではありませんでした。現在のように流行しだしたのは1950年頃からです。
河出書房新社「定跡と戦い方」より引用
なるほど、シシリアンとはイタリアのシシリアの意味。ゴッドファーザー好きの親父にはそそられるネーミングです^^。
B20-99 シシリアン・ディフェンス
1.e4 c5
...e5は黒の勝率が悪い。それで考えられたのが黒番...c5。開いたのは黒クィーンの道だけ。e5であればビショップの道も開いて展開に有利に思えそうだけど、それでもe5の勝率は黒にとってよくないんでしょう。
...c5もセンターへの影響力は残っていて、白d4ときたら対応できる。
あとこのc5の意味合いは、キングサイドは白に譲るがクィーンサイドは黒が納めるぜという意思表明。
2. Nf3 d6
白は序盤のセオリー通りキング側のナイトを出す。それに対して黒は...d6で最初のc5を守る。
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3. d4 cxd4
白はcファイルのポーンを出しビショップの道を開けた。そのままセンターを占拠されたくない黒はcdと獲る。
4. Nxd4 Nf6
すかさずfナイトで取り返す白。これに対しキングサイドのナイトを出して展開をすすめると同時にe5をけん制。
5. Nc3
危険を察知してNc3でe5を守る白でここまでがシシリアンの基本形です。次手黒の指し手でその後複数のバリエーションに分かれます。
...a5でNajdorf(ナイドロフ)、...g6でDragon(ドラゴン)、...e6でScheveningen(シュエベニンゲン)です。これらはまた個別に投稿しよう。
以前投稿したルイ・ロペスとこのシシリアン、あとギャンビットを練習すれば十分勝負できると思います。
チェスを始めた頃ってどうしても白番ばかりに慣れがち。それじゃあダメなので黒番用にこのシシリアンをマスターしておきましょう。
あと説明しながら書いていると自分でも勉強になっていい感じ。どうぞお付き合い下さい^^。